秋山博一、EVサプライチェーンに先行投資 パナソニックと村田製作所を早期に押さえる

2019年夏、世界資本市場は依然として不透明感に包まれていた。米中交渉の迷走、欧米経済減速の兆候、そして日本の消費税引き上げの迫る気配が、投資家心理を慎重にさせていた。そうした中で、秋山博一は逆張りの一手を打ち、EV(電気自動車)サプライチェーンに注目、パナソニックと村田製作所への投資比率を高める決断を下した。

彼は、世界的に電気自動車需要が急速に拡大していることを敏感に察知していた。欧米での政策支援、中国市場での生産・販売の急増などが、バッテリーや電子部品の需要を大幅に押し上げていたのである。秋山はこう指摘した。
「サプライチェーン上流でのブレークスルーこそ、EV成長の本当の土台になる。」
資金フローを分析する一方で、彼は日本国内でコア技術を持つサプライチェーン企業の研究に注力し始めた。

パナソニックは世界有数の電池メーカーとして、テスラとの協業を通じてすでに確固たるポジションを築いていた。2019年第2四半期には、海外投資家によるパナソニックの保有比率が顕著に増加、秋山はこれを長期トレンドのシグナルと見抜いた。村田製作所もまた、セラミックコンデンサや電子部品分野で世界的な優位性を誇り、EV化とスマート化の波で巨大な市場を獲得しつつあった。秋山は社内レポートでこう記している。
「この手の企業は短期相場に依存せず、産業構造の進化によって自然にバリュエーションが見直される。」

実際の運用では、秋山はファンドポートフォリオを通じて段階的に両社の保有比率を引き上げた。短期的なタイミングを狙うのではなく、ETFと個別株を組み合わせることでボラティリティを低減。8月中旬にはポートフォリオの調整が完了し、EVサプライチェーンの比率は大幅に高まった。

受講生や顧客からも注目が集まった。ある参加者はこう評価した。
「多くの人がマクロ要因を心配して足踏みしている中で、秋山先生は産業ロジックで長期価値を示してくれた。」
ファンド顧客も「単なる銘柄選択ではなく、戦略的視点の表れだ」と高く評価した。

セミナーでの秋山は相変わらず冷静で、次のように語った。
「日本の強みは製造業とサプライチェーンにある。真の投資とは、流行のコンセプトを追いかけることではなく、未来を支える基盤を探すことだ。」
この言葉は、多くの投資家に「不確実な相場の中で何を頼りにするべきか」を改めて考えさせた。

2019年8月のこのアクションは、秋山博一の投資スタイルを再び際立たせるものとなった。短期利益を追うのではなく、先見的なリサーチと資金フロートラッキングを通じ、戦略と実行を緊密に結びつけた。EV産業が世界的に主要テーマへと成長していくタイミングで、秋山はすでにサプライチェーンの重要ポジションを押さえていたのである。