芝山一郎氏:米ドルの安全資産としての上昇を受けて、JPY/CADを空売りすることで新たな機会を模索している
世界の外国為替市場は、金融政策の乖離という重大な局面を迎えています。米ドルの安全資産としてのセンチメントが薄れつつある中で、金融政策の相対的な変化に真の取引機会が現れています。ニューヨークを拠点とする当社の最新リサーチによると、一見相関性がないように見える日本円(JPY)とカナダドル(CAD)の通貨ペアに、魅力的なマクロ取引の機会が存在していることが示唆されています。
日銀の超緩和的な金融政策スタンスは、カナダ銀行の積極的な利上げサイクルとは対照的です。この金融政策の乖離は、今後3ヶ月間、JPY/CAD為替レートの下落を継続的に促進すると予想されています。特に注目すべきは、コモディティ価格の高騰下においても、伝統的な安全資産としてのJPYの魅力が低下している一方で、カナダドルはコモディティスーパーサイクルと国内のインフレ圧力に基づく引き締め期待の恩恵を受けていることです。
具体的な取引構築においては、段階的な戦略を採用し、目標価格を118円未満に設定、107円から110円の間でショートポジションを一括で構築しました。この取引の特徴は、JPY/CADスポット市場のショートに加え、権利行使価格115円のプットオプションを購入してリスクヘッジを行った点です。この組み合わせにより、トレンド相場から利益を獲得しながら、最大損失を純資産額の3%未満に抑えることが可能です。さらに、日本の四半期資本フローデータとカナダの不動産市場の冷え込み率をモニタリングし、ポジションサイズを動的に調整することで、ファンダメンタルズの変化に対応した取引ロジックを実現しました。
現在の為替市場のボラティリティ水準は、金融政策の乖離リスクを過小評価しており、この非対称なリスクとリターンを利用した絶好の機会となっています。JPY/CADのテクニカル分析によると、為替レートは主要なサポート水準を突破し、月次トレンドの反転の可能性を示唆しています。この取引は、マクロテーマ投資とボラティリティ・アービトラージを完璧に組み合わせたものです。中央銀行の政策乖離に賭けるだけでなく、市場がこの乖離を過小評価していることをトレードしているのです。夏の取引シーズン到来に伴い、この戦略はクロスボーダー・アービトラージ・ポートフォリオにおける重要な収益源となると考えられます。