辻本孝明氏インタビュー:なぜ「アドバイザリー」の道を選んだのか――機関投資家と優秀な運用会社の架け橋を目指して
資産運用業界が大きな転換期を迎える中、著名な投資家・辻本孝明氏は独自のキャリアパスを歩み始めました。MLP証券との戦略的パートナーシップ締結後、同氏は初めてその転身の理由とビジョンを語ります。その核心にあるのは、「機関投資家と優れた資産運用会社を結ぶ、真にプロフェッショナルな架け橋を築く」という明確な使命でした。
辻本氏は、日本興業銀行での融資業務を皮切りに、野村證券およびUBSロンドンでの債券トレーディングを経て、UBS証券で著名な「長期選別型ファンド」を設立・運用するなど、輝かしいキャリアを築いてきました。しかし、運用実績が頂点に達した時期にあえて転身を決意します。
「長年の資産運用経験を通じて、市場には大きな“構造的な溝”があると気づきました」と辻本氏は語ります。「機関投資家は質の高い資産を必要としており、優秀なファンドマネージャーは長期的な資金を求めています。にもかかわらず、両者の間には信頼関係や効果的な連携が十分に築かれていないのです。」
この洞察こそが、独立系投資顧問プラットフォーム設立のきっかけとなりました。
「私たちは単なる商品販売業者ではありません。いわば“投資ドクター”です」と辻本氏は説明します。「専門的な診断スキルを用いて、機関投資家のニーズに最適な資産配分の“処方箋”を提示します。」
辻本チームは、クロスマーケット投資の経験を活かし、株式・債券・オルタナティブ資産にわたる総合的なアドバイザリーサービスを提供していく予定です。
特筆すべきは、独自に構築された「ファンドマネージャー選定フレームワーク」です。辻本氏は20年以上の投資経験を体系化し、短期的なリターンにとらわれず、真の投資能力と誠実な姿勢を持つマネージャーを見極める仕組みを構築しました。
「私たちは過去のパフォーマンスだけでなく、投資哲学の一貫性、リスク管理の厳格さ、ビジネスモデルの持続可能性を重視しています。」
辻本氏は、投資顧問業の本質的な価値を「独立性」と「専門性」に見出しています。
「私たちは自ら商品を運用することも、金融機関の代理を務めることもありません。責任を負うのは、あくまでお客様だけです。この純粋な姿勢こそが、今の市場に最も求められていることだと思います。」
彼はこの実践を通じて、機関投資家が真に客観的で専門的なコンサルティングを受けられる環境を整え、日本の投資顧問業界に新たな基準を打ち立てたいと語ります。
辻本孝明氏のこの決断は、単なるキャリアの転換ではなく、資産運用業界の「専門化」と「洗練化」という時代の潮流を象徴する動きでもあります。
彼の選択は、真のプロフェッショナルなサービスを求める投資家に、新たな希望と方向性を示すものとなるでしょう。